良夫さん
ごめんなさい。那須山荘を売却いたしました。山荘での最後の日々を、3月26日から4月2日まで過ごして帰宅したところです。この1週間は一にも二にも明け渡しのための作業に終始しましたので、そして助っ人がいてくれたこともあって感傷に浸る暇はほとんどなかったのですが、1日の夕方からひとりになりました。明るいうちに最後の温泉に、良夫さんありがとう、と涙とともにふつふつと出てきました。常にあなた方が点てててくれた温泉をずいぶん楽しんだものです。最後の日、2日は朝からきれいな青空が広がり、窓をフレームにした枯れ木と青空の風情が曇って曇って号泣になりました。庭に降りて歩いてみました。あなたが刈り込んで作ってくれたpathは、今はクマザサと枯草におおわれたまま、枯木も倒れたままに散乱しています。良夫さんごめんなさい、ありがとう、山荘ありがとう、さよならを繰り返しています。
思えば、この秋で丸20年になります。平成6年11月3日初滞在でした。今は切ない思いのみ。山荘日誌も3冊でおしまい。3冊目の始まりは2010年夏、最後に二人で過ごして、お盆のオーナーズゴルフとKAZUでのランチを最後に、車を運転して一足先に下山した、これが元気なあなたを見た最後でした。3か月後に帰らぬ人ひととなるような人の書き方ではありません。記憶をたどると切ない、日誌を読み始めると文字が入ってこない。
那須での思い出、私たちの山荘での明け暮れは永遠です、色鮮やかに。
良夫さん、ありがとう。
道子